Xクラスフレアにおける熱的非熱的成分の生成

○ 中島 弘、横山 央明 (国立天文台)

Xクラスフレアは極めて強いX線やマイクロ波を放射するため、Xクラスフレアから得られたフレア領域のパラメーターは、ある種の極値な与える。本講演では、1992年から2000年の間に、電波ヘリオグラフとようこう(HXT、SXT)で観測されたフレアのうち、強いSH(super-hot)成分に伴われた3つのフレア(いずれもbehind-the-limb フレア)をとりあげ、impulsiveピークにおける熱的、非熱的粒子の生成を調べた。

(1) 1992 Nov 02 : 軟X線ループ(アーケード)の上空に、強いSHソースがみられ、それらをドーム状のマイクロ波ソースが取り囲んでいる。

(2) 1998 Apr 23 : 構造はやや複雑であるが、SHソースは、軟X線アーケードの頂部に存在し、マイクロ波や硬X線による非熱的放射は、軟X線アーケード頂部の一部とその上部に存在する。

(3) 1998 Nov 24 : 光球面上空10秒角の上空に、コンパクト(10秒角程度)なSHソースと非熱的マイクロ波ソースが軟X線ソースと一致して存在する。

これらのフレアで特徴的なことは、SH成分が高密度(軟X線イメージから推定:\(10^{11} \) 程度)の場所で極めて効率よく生成され、非熱的粒子はほぼ同じ場所で加速されていることが推定される。この結果とその他得られた特徴を含めて、フレアにおける粒子加速加熱の機構との関係を議論する。