M35a

2001年4月10日に起きたX2クラスフレアの

X線及びマイクロ波放射構造

○矢治健太郎(かわべ天文公園)、増田智(名大STE研)、浅井歩、柴田一成、

黒河宏企(京大理天文台)、横山央明、下条圭美(国立天文台野辺山)

2001年4月10日5:06UT、X2.3クラスのフレアが活動領域NOAA9415(S23W09)で起きた。このフレアは、ようこうのほか、野辺山電波ヘリオグラフ、かわべ天文公園、京大付属天文台の地上観測など多波長での観測が充実している。

過去2回の講演では、硬X線観測から熱的放射領域と非熱的放射領域が異なることからこれらの放射領域が異なったループ構造に対応していること、また、各硬X戦スパイクに対応するループ構造を推定した。

今回は、さらに野辺山電波ヘリオグラフの観測結果もあわせて、このフレアの硬X線源とマイクロ波源を比較した。マイクロ波の像は大局的にはH\alphaのツーリボンに対応したBipolar構造をしている。その構造の中、HXTで観測されたインパルシブなスパイクに対応したマイクロ波源をいくつか確認できた。特に、5:19:12UTの硬X線スパイクに対応した電波源は非常に明瞭で輝度温度9e7に達する。このようなインパルシブな硬X線源と対応したマイクロ波源とは別に、Bipolar構造の中間付近に存在している広がったマイクロ波源も存在する。これは、5:21付近で輝度温度1.5e8度まで達したあと、ゆるやかにdecayしている。これは電波観測からも、熱的放射と非熱的放射が異なったループ上で支配的であることを示す。

本講演では、以上の硬X線源及びマイクロ波源を空間的時間的に詳細に比較解析を行い、このフレアにおける非熱的放射・熱的放射に関わる磁場構造について議論する。