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電波へリオグラフの遠隔診断システムの開発

○篠原徳之、関口英昭、川島進、斎藤泰文 (国立天文台 野辺山)

電波へリオグラフ装置は東西、南北に配置された84台のアンテナで構成される電波干渉計であり,年間を通してルーチン観測を行っている。現在10分毎の実時間画像をはじめ1日1枚の南中近くの画像、観測で得られたイベントリスト等をWeb上で公開しデータの共同利用を行っている。

一方、電波へリオグラフ装置は、構成部品の耐用年数が過ぎるなどの要因でトラブルも発生している。観測は自動化されているので、通常は正常に運転されているかの確認だけで済んでいる。春季学会では遠隔地から装置の稼動状態を診断するシステムの開発計画を報告したが、その計画が完成したので報告する。

電波へリオグラフは1台のアンテナの故障でも画像に乱れが生じ、正確な情報が得られなくなってしまう。しかし故障したアンテナを除いてデータ処理をする等の工夫で画像の乱れを無くすことができる。電波へリオグラフ装置は、例えば画像処理装置の故障で画像データが無い場合でも観測データは磁気テープに保存されているので致命的な故障時以外はデータ復旧が後から可能なのである。そこに遠隔診断のメリットがある。

今回開発した遠隔診断での故障の判断材料は、10分毎の実時間画像、メインの制御装置から得られるログデータ、データ収録装置の状態、一次元像の簡易出力、環境監視画像等である。得られた情報は計算機の自動実行処理を利用しWebページへ反映させることにより遠隔地からの診断材料になる。この報告は如何にして故障判断情報を取得しWebに反映させ、外部から遠隔監視を行い観測に支障のある致命的な故障を判断するかその方法について行う。