V12b

電波ヘリオグラフ 84台のFE受信機部の性能保持対策とその総括

○川島 進、篠原徳之、関口英昭(国立天文台野辺山)

 運用開始から11年目に入った電波ヘリオグラフのフロントエンド(FE)受信機部は、野辺山の厳しい環境下(外気温度変動、強風)でのルーチン観測を使命としていたため、受信機の温度特性をキャンセルする様に温度特性の傾向が相反する能動素子を組合わせたり、特に温度変動に敏感なPLOユニットは二重の温度制御を行うなどの対策を盛り込んであった。しかし、実際に運用を開始すると様々なトラブルが発生したため、各種の対策を講じながら現在に至っている。運用開始時の初期不良時期以降の主なトラブルの発生とその対策、またトラブルの早期発見のためのソフト開発等についてのまとめを報告する。

 これまで発生しているトラブルでもっとも多いのは、FE箱内の温度制御にかかわるもので、外気(冷気)導入による温度変動、FE箱内の温度分布、34GHz受信機追加による庫内空気の攪拌不足、攪拌用ファンモータの故障(耐用年数による)などがあった。また受信機の故障では、PLOユニット(10件)の不良交換が最も多く、他にはDC電源ユニット故障、IF-AMPユニット等の故障などが数件あっただけで、総じて故障率は低い。

 ルーチン観測で得られた観測データはその日のうちに画像等に加工され、HP上に公開して共同利用に供している。従って、トラブル発生等の早期発見と対処及び情報の提供が求められる。そのために観測生データ(全アンテナの信号強度、隣接アンテナペアの相関値)、84台のFE箱内温度、気象データ(外気温、風速、日照等)などのチェックソフトを作り、ルーチン作業として性能維持に努めている。