太陽多波長フレアデータ解析研究会 NSRO-CDAW '05 group1-1 2005/08/22-26

3.考察と問題点


高さ方向の構造をまとめると、

foot point : H-alpha, HXR (HXRよりもHaの領域のほうが大きい)
loop中間 : micro波
loop上方 : 3~10keVくらいのlow-energy HXR
さらに上空: HXR

micro波:
non-thermal粒子によるgyro synchrotron
XR:
non-thermal粒子によるbremsstrahlung

非熱的粒子はloop上空でプラズマと衝突し、bremsstrahlungにより X線放射する。
エネルギーを落しきらなかったものは彩層に到達してX線を放出する。
またこの落下過程で、gyro synchrotron放射をして、micro波で観測されている。

footpoint とloop top source でのスペクトルのべきの差は2程度であった。
これは、footpointはthick target, loop top は thin targetとする モデルと一致する。

ループ上空から落下してきた非熱的粒子がループ上のプラズマに衝突すると考えると、
エネルギーの低い粒子ほど平均自由行程が短いので、先に衝突によりエネルギーを失い、
結果としてループの最上部よりもやや下に強いXR sourceができると考えられる。

けれども、観測データをみると最上部にHXRのsourceがある。
このことは、加熱源の存在を示唆している。

ループ上空に加熱源を仮定すると、
熱伝導により加熱源により近い上空の方が温度が高くなり、
温度分布の逆転を説明できる。

しかしここにも問題点がある。
ループに沿った方向の熱伝導はとても大きなため、
短いタイムスケールでループ全体にその熱が伝わってしまう。
これは、観測された温度構造のタイムスケールとは矛盾する。

また、マイクロ波を出す粒子のエネルギーはMeV程度であるが、
HXRを出している粒子の エネルギーは数百keVである。
加速源がHXR sourceより上にあるとすると HXRが高度が下がるにしたがって
低エネルギーが卓越するのは矛盾しないが、
その下にMeV領域の粒子が分布することになり、合わない。


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