松崎は NSRO-CDAW'05 の第2班にて2005/1/1 のイベント (X1.7) の解析した。 この班の課題は以下のとおり
弐:100keV以上でのδとγを比べる
いままで、電波のスペクトラム(100keV以上) から導出される電子スペクトルと硬X線から導き出される電子スペクトル(100keV以下) を直接比べることはできなかった。 RHESSIの登場により、100keV以上の硬X線によるスペクトルが観測されるようになったので、電波・硬X線による同じエネルギー領域での電子スペクトルを直接比較する。
NORH では、こんなイベント。
北のピークが電波と一致?
RHESSI のサマリプロットは以下のとおり。
赤い線でピークに見える 0:30 付近のイベントが解析の対象。 解析ソフトウエアに不具合があり 00:31 以降のデータは 正しく処理することができなかった。そこで 2004/12/31 23:30 - 2005/1/1 00:31 のデータを使用した。 ( 不具合が解消された後、再解析を試みたい )。 このうち 00:28-00:31 が NORP と同時解析を行った部分である
00:25:20 - 00:30:44 の期間に対して、 12秒ごとに時間を区切りスペクトル解析を行った。 使用した検出器は #4 の Front のみで、 パイルアップ補正は行わなかった ( 高エネルギーのスペクトルの形には効かないはずだが より厳密には妥当性のチェックが必要 )。 スペクトル解析のバックグランドは観測直近の夜から取得した。 バックグランドには変動がみられる。 このピークの立ち上がりの時期と 同レベル の 23:40-23:50 から作成した。 得られたスペクトルは以下のとおり。
まず 100 keV - 300 keV において single power law モデルでフィッティングを行った。
フィッティングで得られたべきをプロットしたものは これ 。
同様に 40keV - 80 keV においても single power law モデルでフィッティングを行った。 これらの値から Thick Target Model を仮定すると delta が得られる。 後ほど電波で得られた delta と合わせて示す。
電波で電子の delta を求めるため、 野辺山強度偏波計 を用いたスペクトル解析を行った。以下に 17GHz でのライトカーブを示す。
このライトカーブは、3つスパイク構造のタイミングなど、 硬X線の構造と良く似通っている。 その他の各周波数のライトカーブは以下のとおり
ここでは、全周波数帯のデータがそろっている 0:28-0:38 の時間帯を解析した。 (00:28-00:31 が RHESSI の観測と比較できる部分) このうち 00:28-00:31 が RHESSI と同時解析を行った部分である 1G, 2G のライトカーブは、ブロードでそれ以上の波長の ライトカーブは性質が異なっている。そこで以降のスペクトル解析では 3.75G, 9.4G, 17G, 35G, 80G のデータを用いた。
まずフィッティングから peak frequncy を求めた。 これ 12 G Hz 程度の値をもっていて、17G 以上は光学的に薄いことが分かる。 また delta は
と求まる。図で*印が電波で求まった delta 、 赤線で示すのが 100keV - 300keV の 硬X線で求めた delta、 青線で示すのが 40keV - 80keV の 硬X線で求めた delta である。 電波の delta 3 程度の値から次第に steep になるという 典型的な振る舞いが見て取れる。 硬X線と電波の delta の値は 2.5 程度違ったものとなっている。 100keV - 300keV の delta と 40keV - 80keV の delta を比較すると、 電波との差が 100keV - 300keV の delta の方が広がっていることが分かる。