野辺山電波ヘリオグラフ 装置に関する用語集
アンテナ系
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副鏡
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ホーン(電波の受信機への入口)
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主鏡
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仰角駆動装置(歯車)
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フロントエンド箱
(この中に受信機系1が入っている)
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方位角駆動装置(歯車)
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駆動装置(モーター+ドライバー)
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アンテナ側駆動制御装置
(観測棟との間で通信を行い、モー ターを制御する)
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据付調整機構
(アンテナを上下・左右に精密に移 動させる)
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アンテナ据付ベース板
(コンクリート基礎の上に固定し、 アンテナの概略位置を決める)
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中央駆動制御装置
(84台のアンテナに駆動信号を送 る装置)
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アンテナ駆動制御用計算機
受信機系1
- フロントエンド
アンテナの所に置かれた受信機の総称
- 円偏波切換
進行方向に直角な平面内で、右まわりに回転している電波か、左まわりに回転している電
波かを区別して測定する装置。これにより、電波を出しているフレア領域の磁力が、N極か
S極かを知ることができる。
- 低雑音増幅器
ホーンから入ってきた電波を、直接増幅する高感度増幅器。衛星放送用のアンテナにも使
われている。
- 第1変換増幅器
太陽から来た17GHzの信号を処理しやすい低周波(中間周波と呼ぶ。)ここではいっ
たん約1GHzに変換した後、再度 約200MHz に変換している。
- E/O変換器
電気信号を光信号に変換する装置、地下に埋設した光ファイバーケーブルで観測棟へ信号
を集める。
- O/E変換器
光信号を電気信号に戻す装置。
- 局発信号(発生器)
上記で、17GHzの信号を中間周波に変換する時、必要となる高周波信号を局発信号と
呼ぶ。観測棟にある中央局発信号発生部より、地下の高安定ケーブルを通って、慎重に伝送
された低周波(525MHz)の基準信号をもとに局発信号発生器によって局発信号がつ
くられ、第1変換増幅部に送られる。
- 中央局発信号発生部
局発信号(発生器)を参照のこと。
受信機系2
- 利得周波数特性監視装置
受信信号が上限周波数と下限周波数で同じ出力となっているかどうかをアンテナ系統ごと
に順次監視する装置。
- 第2変換増幅装置
中間周波数で十分増幅した後、ディジタル処理がしやすい様に、さらに低周波(ビデオ周
波数とよぶ、ここでは 1MHz〜 20MHz)に受信信号を変換し増幅する装置。
- ダブルバランスドミキサ
信号を高周波から低周波に変換する装置がミキサであり、ダブルバランスドミキサはその一
種である。ダブルバランスドミキサの特徴は、その特性が安定していることである。
- 較正信号挿入装置
受信機系3の多数の相関器の誤差を測定するために、人工的な信号を各アンテナ系統に挿
入する装置。
- CW信号
CWはContinuous Wave(連続波)の頭文字。人工的に作成した正弦波状の電気信号のこと。
- パルス
心臓の脈動のように間欠的に発生する信号のこと。相関器や電子計算機などのディジタル
回路を動かすために使う基本的な信号である。
- フリンジストッピング装置
太陽は日周運動により東から西に移動していく。電波ヘリオグラフで瞬時々々の電波写真
を撮影するときに、写真の中心に常に太陽の中心が来るように追尾するための装置。電波干
渉計の場合、個々の素子アンテナが機械的に太陽を追尾することとは別に、この電子的な追
尾装置が必要である。
- 移相器
フリンジストッピング装置の主要構成部品。
- 受信機制御監視部
受信機各部を自動的に制御し、また、受信機各部の必要な個所の動作を監視し警告を発す
る装置。
受信機系3
- バックエンド部
受信機の最後尾の部分の総称。計算機やレコーダに出力するデータを作る部分。
- A/D変換器
A/DはAnalog to Digitalの略。アンテナで受信した信号(これはアナログ信号という)
を計算機で扱うことができる信号(これをディジタル信号という)に変換するための装置。
- 1ビットサンプラー
電波ヘリオグラフのA/D変換器を構成する主要部品。電波ヘリオグラフでは、受信信号
を1か0かの2つの状態だけをもったディジタル信号(これを1ビットディジタル信号とい
う)に変換し、以後の処理をできるだけ簡単にしている。
- 遅延補正器
天体と素子アンテナの間の距離は天体の位置によりアンテナごとにほんの少し異なってい
る。このため、天体から放射された電波が各素子アンテナに到達する時間には若干のずれが
生ずる。このずれが大きいと電波写真に歪みを生ずる。時間とともに変化するこのずれを補
正する装置が遅延補正回路である。
- 相関器LSI、相関器ボード、相関器
電波ヘリオグラフでは、像合成のために必要な情報として、84台すべての素子アンテナ
の間で受信信号相互の関係(相関)を求めている。これを行なうのが、相関器である。素子
アンテナの数は84台であることから、受信信号間の関係を求めるアンテナ対の数は、
84×(84−1)÷2=3486対
である。1対のアンテナに対して4個の相関器が必要であり、全相関器の数は3486×4
=13,940個である。相関装置を構成するため、12個の相関器を集積したLSI(大
規模集積回路)を製作し、これを40cm×40cm程度のプリント基板に20個載せれば
(これを、相関器ボードと呼ぶ)、約58枚のボードが必要となる。
データ積分装置、高速データ記録装置:電波ヘリオグラフからは、50ミリ秒ごとの高時間
分解データと1秒ごとのデータの2種類のデータを利用することができる。データ積分装置
は、50ミリ秒ごとの高時間分解データを取り込み、高速データ記録装置の高密度磁気テー
プに記録するとともに、1秒間分を集めて1秒ごとのデータを作成し、データ収録処理系へ
送り出す。
- 主制御監視部
実時間で使う各種制御監視計算機やデータ収録処理系の電子計算機とつなぎ、ここから電
波ヘリオグラフの集中制御監視を行なう。いわゆる管制卓の役割を果たす装置である。
- LSIマスク
LSI(大規模集積回路)を多数作るときに、原盤となる写真フィルムをLSIマスクと
言う。
信号伝送系
- 局発信号用光ファイバーケーブル
温度によるケーブルの電気長(信号の流れる速さから決めたケーブルの長さで、物理的な
長さとは若干異なる)の変化の少ない高精度光ファイバーケーブル。
- 中間周波用光ファイバーケーブル
温度による電気長の変化は、局発信号用光ファイバーケーブルに比べて若干大きいが、やは
り高精度光ファイバーケーブルである。フロントエンドから出力される受信信号を観測棟に
伝送する。
以上のケーブルは外気温の変化によってケーブル相互間の電気長が変化しない様、観測棟
からアンテナまでのケーブル長は同じとし、温度変化の少ない地下に埋めて、安定度を保つ。
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