電波ヘリオグラフ2周波光学系改修-II:全面FSS型副鏡の詳細

○ 関口英昭、川島進、齋藤泰文、篠原徳之、中島弘、(国立天文台)、鷹野敏明(千葉大工)

電波ヘリオグラフ二周波光学系改修に伴う全面FSS(周波数選択膜)型副鏡の製作と性能の詳細について報告する。電波ヘリオグラフの副鏡は、17GHzの信号は反射し、34GHzの信号は透過してそれぞれのホーン+受信機に入射するように設計されている。従来の副鏡ではFSSを副鏡の中心半分にのみ形成していたが、今回副鏡の全面に形成することにより、素子アンテナのビームの改良を行うことが出来た。全面FSS副鏡の詳細は、以下の通りである。

1.セラミック素材は、精密加工に使われ、強度が強く、かつ高周波特性もよい、99%アルミナを選定した。

2.金膜パターンは、Ti+Pdの下処理の上に金を真空蒸着によりつけ、エッチングでエルサレムクロスパターンを形成した。双曲面への精度のよいパターン形成のために、エッチング用のマスクパターンの素材、治具を工夫した。金膜の厚みは、透過損失が十分小さくなる1.6μmとした。

3. 34GHzにおける挿入損失を最小にするため、エルサレムクロスパターンのサイズとセラミック厚みを実験的に求めた。

4.副鏡のFSSパターン面を保護するために、挿入損失、耐候性等を種々の下塗り、上塗りの塗料の組合せで実験した結果、上塗りには4フッ素系塗料を採用した。

以上の結果、17GHzにおける挿入損(0.2dB以下)を損なうことなく、34GHzにおける挿入損は大部分に対し、1dB以下を達成することが出来た。