野辺山電波ヘリオグラフによる非熱的電波源の超高速伝播の発見
○横山 央明、中島 弘、柴崎 清登(国立天文台)
太陽フレア非熱放射源の超高速伝播現象を、野辺山電波ヘリオグラフ(NoRH)で観測したので報告する。1999年8月28日
00:56 UTに太陽面上でおこったフレアでGOESクラスはM2.8であった。NoRHによるマイクロ波(17GHz・34GHz)画像では長さ10万km弱のループ状構造がみえ、光球磁場との比較からこれは磁気ループであると推論される。マイクロ波最大光度時刻付近に、このループの南東の端から北西の端にむかっておよそ10,000
km/secの速度で電波源がひろがっていくようすが、0.1 sec間隔の高時間分解画像をつかって観察された。スペクトルの詳細な解析からこの放射は非熱電子によるジャイロシンクロトロン放射であると考えられる。したがって本観測は、非熱放射の伝播現象が画像として得られた極初期の例である(White
et al. 2000に継ぐ)。またこれ以外に、100,000 km/sec で伝わっているとみえる伝播現象も同フレアで観測された。もしこれが事実であるならば光速近くまで加速された電子を画像で観測した最初の例といえる。