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マイクロ波と硬X線でのプリフレア相の様子

○浅井 歩、中島 弘、下条 圭美(国立天文台)、S. White(メリーランド大)

太陽フレアの初期段階であるインパルシブ相では、最もエネルギー解放が活発であり、硬X線やマイクロ波などで強い非熱的放射が観測される。一方、その直前の段階であるプリフレア相では、強い非熱的放射はこれまで観測されてこなかったものの、軟X線の緩やかな増光やプラズモイド/フィラメントの噴出現象等が観測されており、フレアのトリガー機構を探る上でこの段階でのエネルギー解放機構は重要であると注目されてきた。

2002年7月23日に活動領域NOAA 0039で発生したX4.8クラスのフレアでは、RHESSI衛星の硬X線データや国立天文台野辺山の電波ヘリオグラフにより取得されたマイクロ波画像において、そのプリフレア相でも非熱的放射が観測された。我々は今回、このプリフレア相における非熱的放射から、フレア直前の非熱的粒子の振舞いについて解析を行った。これにより、プリフレア相においても粒子加速機構が効いており、この段階でもエネルギー解放が十分に生じていることが分かった。また、その粒子加速機構はインパルシブ相でのそれとはスペクトル等の面から異なる特徴を示すことが分かった。

本年会では、これらプリフレア相における非熱的粒子の振舞いや、フレア領域での構造の変化との関係などについて、詳細に解析した結果を報告する。