フレアの磁場配位
爆発現象フレアのエネルギー源は、太陽表面の磁場です。磁場は 太陽表面ではループ状の構造をしています。これは本来チューブ状 (磁束管といいます)の構造が太陽表面から一部だけ姿をのぞかせて いるようすです。われわれが 可視光でみる太陽大気はほぼ球体に近いのですが、X線などを使って 観測すると、磁力線のループがいっぱい生えているのがみえます(図1)。
このような磁束管どうしがぶつかるとその境目に強い電流が流れて エネルギーを解放します。それが突発的に起こるのがフレアという 現象です。その磁束管の配置として「ダブルループ配位」が 電波ヘリオグラフの観測から提唱されました(図2)。 その根拠になっている観測例が図3です。X線やHα線像で明るい 個所がフレアなのですが、詳しく調べるとちょうどそこで二つの 磁束管が接触していると考えるとうまくつじつまの合う解釈が 可能なのです。たくさんのフレアについても調べてみた結果 他の多くのフレアもこの配位でうまく説明できることが わかりました(図4)。
図1 X線で観測した太陽。太陽観測衛星「ようこう」による観測。(宇宙科学研究所提供)
図2 フレアの磁気「ダブルループ配位」モデル(Nishio et al. 1997より)。
図3 さまざまな波長で観測したフレア(1993年6月7日、Hanaoka et al. 1997より)。 (a) 電波強度 (b) 電波円偏波、以上電波ヘリオグラフ (c,d) X線 (ようこう) (e) 表面磁場分布(米国Mees天文台) (f) モデルスケッチ (g,h) 水素Hα線(京都大学飛騨天文台)
図4 フレアの際の画像を調べるとここで示したような配位になった (Nishio et al. 1997)。
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