UV平面への観測データの配置
○電波ヘリオグラフのアンテナ配列
東西・南北に「T字」状に並ぶ84台のアンテナは、
1.5mの整数倍の間隔で、中心が密、そこから離れる
につれてまばらになるよう配置されています。
これは、なるべく少ない数のアンテナと、なるべく簡単
な数値処理で、高解像力と広視野を同時に満た
す画像を得るための工夫です。
まず、T字の中心に密集したアンテナで太陽全面
像を合成し、太陽の縁を正確に求めます。これを基
にして、全アンテナからの信号を組み合わせ、太陽
面上のひとつひとつの電波源の位置を定めます。
○UV分布
電波干渉計は一般に、多数のアンテナから構成
されますが、像をつくるときには、二つのアンテナを
組み合わせて得られる信号が基本になっています。
具体的には、各信号どうしの「相関」をとり、
これに逆フーリエ変換という処理を行って、電波源の二次元像を復元します。
UV分布とは、観測されるフーリエ成分のフーリエ空間上の分布を示しており、
アンテナの配置で決まります。UV成分の広がり具合が望遠鏡の空間分解能に、
密集度が感度に対応します。
○較正後のUVマップ (干渉計より得られた生データ)
これは17GHzで実際に観測された信号を較正して得られた、太陽の
UVマップ(フーリエ成分)です。
観測より、サイン成分とコサイン成分の2種類のUVマップができます。
これをそのまま逆フーリエ変換しても、太陽像は復元されません。
まず、各アンテナからの信号(位相と利得)の較正を行います。
較正は、T字のアンテナ配列のうち、中心の等間隔に並ん
だアンテナからの信号を利用し、太陽自身を較正源として
リアルタイムで行います。
○ビームパターン
電波干渉系によって観測されるのは、天体の輝度
分布と干渉系のビームパターンを “たたみこんだ“
量です。したがって、天体の輝度分布を得るには
この二つを分ける必要があります。
ビームパターンは、点状の電波源を観測視野の中心
に置いたときに得られる合成像として得られます。
(具体的にはアンテナ配列で決まるUV分布の各点に
定数をおき、フーリエ変換を行います。)
電波へリオグラフでは、上図のように十字のパターン
になります。